眠りについたこの街が、30年以上の時を経て今甦る。

書店員応援コメント

●第二回

田中めぐみ(たなか・めぐみ)
メトロ書店ソラリアステージ

日常の中の非日常≠ノ
憧れて

第一回〈ハードボイルド〉、そう称されるものと縁遠く生きてきて、はや25年。そのフィールドに足を踏み入れたのは、まさに北方謙三先生の「ブラディ・ドール」シリーズからである。

日常の中の非日常を描き出したような世界観に、憧れを抱いてしまう。

私にとって〈ハードボイルドな男〉とは、女性の扱いがスマートで、葉巻が似合い、余計なことは口にしない、芯の通った漢気溢れる人をさしていた。私が思い描く像は、やはりどこか女性目線の理想を含んでいたのかもしれない。「ブラディ・ドール」の男たちを知れば知るほどそう思う。

多くは語らず、真意や弱みをみせない姿にかっこよさを感じる一方で、この相手になら少しくらい気を許し弱みをみせても……と思えて仕方ないところもある。このジレンマもまた、読み進めてしまう引力になっているのだが。

筋を通す漢気も魅力だが、男女のすれ違いの切なさもまたひとしおである。

すべてが思い通りにいく訳ではない世の中で、いかに生きていくか―。

 時折垣間見せる無骨さに親近感を覚えつつ、決して上手い生き方ではないけれど、どこか惹かれてしまう、そんな魅力を持つ登場人物たち。

「ブラディ・ドール」の世界―それは私にとっておざなりな自分と向き合わせるものであり、足?いてみたくなる衝動をかきたててくれるものである。

未体験のあなたに是非この作品を―。

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