眠りについたこの街が、30年以上の時を経て今甦る。

書店員応援コメント

●第十一回

半澤浩司(はんざわ・こうじ)
ブックスなにわ 多賀城店

熱烈支持

第十一回刊行を楽しみに待っていたこのシリーズもとうとう最終巻を迎えた。

正直に告白させてもらうと、私は北方先生の諸作品の熱烈なファンというわけではなかった。読んだことがある作品といえば『三国志』『水滸伝』、そして現代小説が二、三冊程度のものである。

さらに言えば、北方先生を初めて知ったのは、今はなき「ホットドッグ・プレス」という雑誌にて連載されていた人生相談コーナーである。これが、当時十代だった私に強烈なインパクトを与えた。悩み相談に対する回答が豪快かつ型破りであるにもかかわらず、説得力に満ち溢れていたのである。

その後、作品を読んだ時の印象は鮮烈かつ激烈だった。

では、なぜ、それ以降、さらに読み漁っていかなかったのか?

これに関しては、既刊作品が多過ぎたため、追いかけるのをやめてしまったとしか言いようがない。

しかし、今回久しぶりに北方作品を読ませていただくことになり、長らく遠ざかってしまっていたことを後悔しながら、前のめりになって読み耽った。

冷徹なまでの判断力と、それに相反するかのような迸る熱情を兼ね備えた超クールな登場人物、疾走しまくる物語の奔流に終始圧倒された。

これだよ、これ、これぞ北方ハードボイルド!

おそらく、北方先生自身がハードボイルドな男だから、こんなにも痺れる作品が出来上がるのだろう。

「ブラディ・ドール」シリーズの第十一巻と銘打たれているが、第十巻までとは物語として直接的に続いているわけではないので、この巻から読み始めても問題ない。

長大なシリーズだと思って敬遠せず、是非とも気軽に手に取って読んでみてほしい。

ただし、最終的には前十作品も読破してしまうことになるはず。

私がそうだったから、この予測はかなり高い確率で当たるのではないかと勝手に思っている。

そして、今の私は北方先生の熱烈なファンである。これは、自信を持って断言できる。

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