いいにおいの日本語に、やわらかくいざなわれて蒼白い頁をくった。ひとのこころのおかしなあやや、おとこやおんなやこどもというものの不安定を、こんなにさっぱりと、こんなに淋しく物語に仕立ててしまう書き手の天性と、それを読む者の快楽。雨と夕ぐれとかなしい恋のけはいのなかで、文字を追う単純なよろこびにひたった。−江國香織 (帯より)
いいにおいの日本語に、やわらかくいざなわれて蒼白い頁をくった。ひとのこころのおかしなあやや、おとこやおんなやこどもというものの不安定を、こんなにさっぱりと、こんなに淋しく物語に仕立ててしまう書き手の天性と、それを読む者の快楽。雨と夕ぐれとかなしい恋のけはいのなかで、文字を追う単純なよろこびにひたった。−江國香織 (帯より)