大学の研究生として民俗学を学ぶ宮地紀之は、諏訪信仰の謎を追い、北アルプス山中で奇妙な神木を発見した。注連縄で囲まれていなかったその神木は、諏訪信仰にまつわるもので、薙鎌という特異な形の鎌がいくつも打ち込まれていた。研究のための興味から、神木の鎌をけずりとった宮地は、鎌木村の村人に発見され、もう一度封印するための“表”の儀式に参加させられることになる。一方、東京に住み、“裏”の儀式を行う神主の血筋をもつ高藤正哉は、自分を生神と信じ込んで失踪した妹の梓を探すため、宮地とともに鎌木村にいくことになり、“表”の儀式に立ち会うことになってしまうのだが…。解かれてしまった封印とは、そして、封じ込められていた悪神とは何なのか…。渾身の書き下ろしで贈る、ホラー小説の傑作!