60年代、日本が破壊と創造の欲望に蠢いていたころ、歌謡曲を好み、競馬に没頭し、野球とボクシングに熱狂していた鬼才・寺山修司。彼が自らの死を受けとめた時、いくつかの評論と対談、エッセイの数々をこの世に残した。没後17年を経て、散逸していたそれらを収集、編集したのが本書である。俳句、短歌、演劇、映画、スポーツ、芸能、文学、多岐にわたる卓越した発言は、今なおわたしたちの思考と感動に、多くの示唆を与える。未刊エッセイ16本を含む本書は、新たな寺山修司ワールドの構築と、世紀末に立つ我々の足場を見据えるための、不可欠な書となるだろう。