海のすぐそばにじつに素晴らしい本屋がある。桟橋の上に建っているので、波が寄せるたびに揺れ、書棚に並んだ本も揺れ、客も揺れる。店の中は薄暗く、トタン屋根の下に一万冊の本が並んでいる。・・・何列もの本棚に並ぶ忘れ去られた作家の本から、紙食い虫を振り落とす。そしてわたしは微笑みを懐中電灯がわりに、日がな一日、本を見て過ごすのだ。(「なにも変わらず」より)
海のすぐそばにじつに素晴らしい本屋がある。桟橋の上に建っているので、波が寄せるたびに揺れ、書棚に並んだ本も揺れ、客も揺れる。店の中は薄暗く、トタン屋根の下に一万冊の本が並んでいる。・・・何列もの本棚に並ぶ忘れ去られた作家の本から、紙食い虫を振り落とす。そしてわたしは微笑みを懐中電灯がわりに、日がな一日、本を見て過ごすのだ。(「なにも変わらず」より)