一乃は,夫・鉄幹と四歳になる幹太郎と三人で富岡八幡宮の近く,冬木町の長屋に暮らしている。大店の跡取り娘であった一乃は,かけ落ちして,鉄幹と一緒になったのだが,貧しくても幸福な日々を過ごしていた。そんなある日,一乃が,にせ一分金を見つける。一方,同じ長屋で一乃とも親しい,おあきが人さらいにあってしまう。一乃たちは,おあきを助けるために,立ち上がるが……。さまざまな過去を背負いながらも,助け合い,明るくたくましく生きる市井の人々を情感こめて描く,時代小説の傑作。
一乃は,夫・鉄幹と四歳になる幹太郎と三人で富岡八幡宮の近く,冬木町の長屋に暮らしている。大店の跡取り娘であった一乃は,かけ落ちして,鉄幹と一緒になったのだが,貧しくても幸福な日々を過ごしていた。そんなある日,一乃が,にせ一分金を見つける。一方,同じ長屋で一乃とも親しい,おあきが人さらいにあってしまう。一乃たちは,おあきを助けるために,立ち上がるが……。さまざまな過去を背負いながらも,助け合い,明るくたくましく生きる市井の人々を情感こめて描く,時代小説の傑作。