"大学3年生の川上優は、ある日街のなかで懐かしい「形」に出逢う。それは今はもうこの世にいない、かつて密かに思いを寄せていた京子の形と全く同じものだった。優は生まれつき特殊な感覚をもっていた。それは「共感覚」とよばれるもので、全ての匂いを視覚的に「形」として認識してしまうというものだ。「形」は人それぞれ全く違うものであり、指紋と同じ様に同じものは存在しない。優は我を忘れて、京子と同じ「形」を追いかけるのだが、そこにいたのは高校時代の親友である霧島と見知らぬ女の子だった。霧島はかつて京子とつきあっていたのだが、優が追いかけた「形」は始めてみるその女の子―斉藤七海―のものだったのだ。忘れていた過去が蘇り、優たちは京子に隠された謎を追うことになるのだが……/恋愛小説の名手 佐藤正午氏のオススメ本!"