東海道の橋上で浪人者に絡まれる旅姿の男女がいた。逃げる女の前に現れた三度笠の渡世人は、浪人者を一瞬にして倒すと、何事もなかったかのように立ち去った。渡世人の名は伊三郎。天城への旅の途中であった。その夜、木賃宿に泊まった伊三郎は、長五郎と名乗る威勢のいい若者と出会う。この長五郎が、後の清水次郎長と呼ばれる男であるとは伊三郎は知る由もなかった──。運命の邂逅か、伊三郎の向かう伊豆には、二人を巻き込む事件が待ち構えていた……。傑作書き下ろし時代長編。
東海道の橋上で浪人者に絡まれる旅姿の男女がいた。逃げる女の前に現れた三度笠の渡世人は、浪人者を一瞬にして倒すと、何事もなかったかのように立ち去った。渡世人の名は伊三郎。天城への旅の途中であった。その夜、木賃宿に泊まった伊三郎は、長五郎と名乗る威勢のいい若者と出会う。この長五郎が、後の清水次郎長と呼ばれる男であるとは伊三郎は知る由もなかった──。運命の邂逅か、伊三郎の向かう伊豆には、二人を巻き込む事件が待ち構えていた……。傑作書き下ろし時代長編。