キョウコ45歳。独身。有名広告代理店に勤務していたが、おべんちゃらとお愛想と夜更かしの日々から解放されるため、早期退職を決行!都内のふるい安アパート(家賃3万円台!)「れんげ荘」に引っ越しし、月10万円で暮らす貯金生活者となった。そのアパートには、60歳すぎのおしゃれな女性、クマガイさんや、職業“旅人”で外国人好きのコナツさん、暴力割烹で働くサイトウくんなど、個性豊かな人々が暮らしていた。冬はすきま風、梅雨時はカビ、夏は蚊などと闘いながらも、鳥の声、草の匂いをかぎ、丁寧に入れたお茶やコーヒーを飲む・・・・・・。わたしたちが忘れかけている、静かでおだかやで、時にささやかな事件がおこる暮らしを暖かい眼差しで描く長篇小説。