角川:父の俳句が本当によくなったのは、ガンで死ぬ前なんだ。『西行の日』という句集で読売文学賞を取ったけれど、本当はその後がいい。絶筆になった<後の月雨に終るや足まくら>まで、いろいろなものが露わになってきていた。たとえば<青すすき虹のごと崩れし朝の魔羅>とか。おれが言うならわかるが、そんなことを詠む父ではなかったからね。おれは虹のごとく崩れないけど、龍のごとく勃つ(笑)。 福田:何を言ってるんですか、せっかくいい話をしているのに!
- エッセイ・対談・座談
- 四六判上製
- 152P
- 47584-1076-3