【『夕映え』内容紹介】 江戸の本所に「福助」というおでんが評判の縄暖簾の店があった。女将のおあきは、元武士で岡っぴきの亭主と息子の良介、娘のおてい、そして常連客たちに囲まれて、つつましいが、幸せな暮らしをしていた。しかし、江戸から明治に代わる時代の大きな潮流に、おあきたち市井の人々もいやおうなしに巻きこまれていく。そしてついには、息子の良助が彰義隊に志願してしまう……幕末・江戸の市井に生きる人びとの人情と心の機微を描き切る、著者渾身の傑作時代長篇! 【著者のことば】 徳川幕府が瓦解し、世の中が大きく変わろうとしていた時、彰義隊に身を投じた多くの若者達がいた。「夕映え」は彰義隊の一員となった息子を持つ両親の物語である。 そして物語は本所石原町のちっぽけな居酒屋から始まった。 宇江佐真理