出会ってから、そして死してなお、著者にとって最愛かつ創作の源として存在した智恵子。その智恵子が先立って三年後、詩集『智恵子抄』は刊行された。〈そんなにもあなたはレモンを持つてゐた/かなしく白くあかるい死の床で/わたしの手からとつた一つのレモンを/あなたのきれいな歯ががりりと噛んだ〉。最愛の妻の今際の際を綴った、教科書でもなじみがふかい「レモン哀歌」他、二十九篇の詩と短歌六首、そして三つの散文が収められた初版を底本に採用。永遠に語り継がれる愛のかたち――。(エッセイ・蜂飼耳)
出会ってから、そして死してなお、著者にとって最愛かつ創作の源として存在した智恵子。その智恵子が先立って三年後、詩集『智恵子抄』は刊行された。〈そんなにもあなたはレモンを持つてゐた/かなしく白くあかるい死の床で/わたしの手からとつた一つのレモンを/あなたのきれいな歯ががりりと噛んだ〉。最愛の妻の今際の際を綴った、教科書でもなじみがふかい「レモン哀歌」他、二十九篇の詩と短歌六首、そして三つの散文が収められた初版を底本に採用。永遠に語り継がれる愛のかたち――。(エッセイ・蜂飼耳)