纏待ちになる夢を諦めて《浜の湯》を継いだ天吉は、大火で出来た借金と、同心・丘野からの岡っ引きへのしつこい勧誘が悩みの種だ。赤子誘拐の疑いを、薬膳料理屋の女将・早江に救われた天吉だったが、今度は妹に殺しの容疑がかかってしまい、とうとう十手を手にする羽目に・・・・・・(「赤子騒ぎ」より)。巻頭作の他、「残されたもの」「妙な噂」の全三話を収録。二度の大火で苦しめられた芝浜を舞台に、半端者だが情に厚い天吉と薬膳料理屋の女将で智恵者の早江、二人の行動力と料理が、市井の人びとの体と心を癒す。気鋭の著者による待望の新シリーズ!