銀座のシェリーバーに通っていた“僕”は、ある日一人の老人から声を掛けられ、「自分はかつて外交官であった」と告白される。その男は津村と名乗り、戦前外交の隠された事実について語り始めるのだった――。物語は、昭和4年末の氷雨が降る箱根冨士屋ホテルから始まる。帝大を中退し、新米外交官としてエリート街道を歩む津村昌雄(25歳)は、ある日佐分利貞男公使の怪死事件についての後始末を任命された。検屍の結果、公使が手にピストルを握ったまま亡くなっていたことから自殺と断定され、その記録も外務省に残っているのだが、4年経った今、その事実を覆そうとする一人の男・砂谷周一郎が突如現れた。彼は自己紹介で“自分は特命全権大使相当の特権を持っている”と告げる。やがて公使の死の裏には政治的な理由が見え隠れしていることがわかり、新たな悲しき真実が発覚することに……。日本・イギリス・ドイツ・スイスの4国で起こった戦前外交の秘史を追う、ふたりの外交官。4つの事件は本当のことなのか、つくり話なのか――。著者待望の書き下ろし。
- 推理・ミステリー・サスペンス
- 四六判上製
- 240P
- 978-4-75841203-2
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