薫風に包まれる江戸の初夏、操に懐妊の兆しが訪れる。喜ぶ操だったが、夫・卯一郎には多忙すぎて話をすることができず、また血の繋がらぬ美佐と徳太郎がどう思うかと不安に駆られる。そして卯一郎に女の影が見え隠れし始めるのだが……(「操の妊娠」)。卯一郎は、やくざ者と芸者・お房の揉め事に手を焼いていた。一件落着したかと思いきや、お房の周囲で次々と殺しが起こり始める。また操は、徳太郎が受けている虐めを目撃し、激しい心労に囚われてしまう(「日盛りの岩田帯」)。ようやくまとまった家族の絆に立ちふさがる大きな葛藤。傑作シリーズ、波乱の第四弾。