夜鷹稼業のおてつは、今は別に生活をおくる事となった我が子・貞吉と暮らす為に、必死に金を貯めていた。空木の花が咲き始めた初夏、貞吉が旗本奥村家の息子に大怪我をさせたと知らせが入った。元亭主の貞五郎が示談金の工面に回ったが、どうしても二十四両が足りないらしい。金が用意できなければ、貞吉は江戸にいられなくなるという。我が子を守る為におてつは、急ぎ金を出すことを決める……。しかしそれは、子を思う母の心を狙った悪質な詐欺だったのだ。身を削って貯めたおてつの金を奪い返すために、蕎麦売り平次郎は動きを始める――。大好評シリーズ第五弾!