仁藤全。高校では42本塁打を放ち、2000年のプロ野球ドラフト会議で阪神タイガースの8位指名を受け入団。強打の外野手として期待されたものの伸び悩み、2001年から2010年までの10年間で171試合に出場、通算打率2割6分7厘で本塁打は8本。もちろん、ヒーローインタビューのお立ち台に上ったことはない。しかし、彼について語るところのある者にとって、仁藤はまぎれもなくヒーローだった――。彼の担当スカウト、彼が好意を寄せる女性、タイガースで彼の後輩にあたるドラ1投手、彼と因縁のあるドラゴンズのベテラン左腕投手、高校時代の野球部で彼とバッテリーを組んでいた男、それぞれの視点で語られる、あるプロ野球選手の物語。