天文二三(一五五四)年。甲相駿三国同盟を契機に、越後・長尾景虎(後の上杉謙信)と甲斐・武田晴信の大戦が始まろうとしていた。多くの民の犠牲を危惧していた景虎の軒猿・猿田彦は、尾張から流れてきた“首売り”の丹左と出会い、意気投合する。数ヵ月後、武田の軍師・山本勘助が景虎への謀反の計略を練るため、北条高広が主君を務める北条城に向かう道中。丹左と弟・次郎丸は、仲間となった軒猿に勘助を襲わせ、救出してみせて、勘助の信頼を勝ち取ることに成功した。こうして、武田の動向を見張る間者として、次郎丸は北条城へ侵入することになったのだが――。書き下ろし戦国時代小説、怒涛のシリーズ第三弾!