銀座のシェリーバーに通う“僕”は、ある日老人から声を掛けられ、「自分はかつて外交官であった」と告白される。その男は津村と名乗り、戦前外交の隠された真実について語り始めるのだった――。物語は、昭和四年末の箱根富士屋ホテルから始まる。新米外交官としてエリート街道を歩み始めた津村は、佐分利貞男公使の怪死事件についての後始末を命じられた。やがてその死の裏に、悲しき真実が発覚する……。ヨーロッパを舞台に秘密外交官の暗躍を描く、昭和史の物語。四つの事件は真実なのか、つくり話なのか。(解説・細谷正充)
- 推理・ミステリー・サスペンス
- 文庫判
- 272P
- 978-4-75843820-9