オリンピックまで2年、昭和37年の東京。17歳の郷子は、2年前に集団就職で上京したものの、劣悪な労働環境から工場を逃亡した。そのまま上野駅でうろうろしていたところを、浅草にある「洋食バー高野」のおかみ・とし子に拾われ、そこで働くことに。工場での食事のトラウマからずっと食べられなかったカレー、初体験! 揚げたて熱々カツサンド、心に沁みわたる感動のプリン……。美味しく温もりあふれる絶品料理と人びとに出会い、郷子は新しい“家族”と“居場所”を見つけていく。平日の昼間から多くの人が集う、下町の社交場「洋食バー高野」を舞台に描く、少女の上京物語。