寛保元(1741)年、鉄砲玉薬奉行の鏑木信之介は焔硝探索の命を受け、御用船・千歳丸に乗って伊豆諸島を巡っていたある日、沖合で巨船に襲われる。その正体は、館島(小笠原諸島父島)に海賊を稼業として生きる、後北条水軍の残党・阿蘭党の大型軍船であった。乗組員をみな殺しにされ千歳丸は沈められたが、阿蘭党に剣の腕を認められた信之介だけは、心ならずも一命を救われ捕虜にされてしまう。だが連れていかれた館島では、多くの人々が平和に、豊かに暮らしていた……。信之介の中には、徐々に阿蘭党との仲間意識が芽生え始めるのだった――。数か月経た、阿蘭党の大祭の日。突如スペインの大型軍艦が島に近づき、日本人侍と共に西洋人が姿を現す。彼らの目的とはいったい……? 日ノ本とスペイン海軍の白熱の船戦、一人の旗本と海賊たちの熱き交流を描いた、感動歴史長篇!