教皇の勅書に従い、各地で魔女裁判が行われた15世紀末。寡婦となったティナ夫人は、住み慣れたハイデンの荘園を出て大都市ルテシアに向かう。「ハイデンの鬼姉妹」とあだ名されるほどの醜女ながら、誰よりも強く優しい心の持ち主である二人の娘たちとともに――。ルテシアでは、彼女を妻に迎えたいという謎めいた商人と、病に伏す幼い娘が夫人を心待ちにしていた。そのころ、社交界ではシンデレラを名乗る美女が話題となり、時を同じくして貴族たちの不審死が相次ぐ……。女の幸せが器量に大きく左右された時代。本当の美しさを問う、ファンタジックミステリー。第7回「角川春樹小説賞」受賞作。
- 推理・ミステリー・サスペンス
- 四六判並製
- 296P
- 978-4-75841272-8