日本橋の小松町にある「女筆指南心花堂」は、匂坂初瀬が師匠を務める、女子だけを集めた手習い所。ながらく師匠を務めていた伯母が倒れたため、初瀬は務めていた旗本の奥祐筆を辞め、心花堂を継ぐこととなった。しかし習うと教えるは大違いで、初瀬はとまどう。大店の娘で我儘なお千代を叱ったことがきっかけで、四人を残してすべての筆子に去られてしまう。けれども厳しいながらも信念を持つ伯母や、住み込みで働く政吉にお藤の力添えで少しずつ、筆子たちの信頼を取り戻してゆく。移ろいゆく江戸の四季の中で、心花堂と筆子たちの事件を解決していくなか、やがて初瀬にも恋の訪れがきて……。