春秋・戦国時代を終わらせ、全中華を統一した秦王・正(せい)。だが始皇帝を名乗った後、その覇業はわずか数年で灰燼と帰してしまう。始皇帝の偉業を支えた官・李斯(りし)、理想の国造りを夢見た思想家・韓非(かんぴ)、干戈を捧げて戦った将・王翦(おうせん)、独裁者を倒すべく暗殺を図った好漢・荊軻(けいか)、国の礎を貪り食った卑劣漢・超高(ちょうこう)……。時代を変えた皇帝の廻りには、数多くの桁外れの男たちがいた。見果てぬ夢を観続けて、中華統一を成し遂げた始皇帝・正と、それを取り巻く男たちの戦いと謀略の日々。中国初の帝国・秦の興亡と、その遺構を得た漢の勃興を、数々の話題作で評判の岩井三四二が描く、中国歴史小説の傑作。