応仁の乱を起こした名家・山名を継いだ武将、豊国。 幾度のもの変心を経ても、なぜ家康は豊国を評価したのか。 大名を捨てながらも、戦国を生き延びた「宿将」の生涯――。 1548年(天正17年)に山名豊定の次男として生まれた豊国。かつて日本の多くの荘園を経営し、「六文の一殿」と呼ばれた名家・山名は、戦国の荒波の中で消耗し、山名豊国は厳しい領地経営を強いられる。尼子、毛利、織田と強大な勢力に挟まれた豊国は、織田信長の指し示す「戦国の終わった世」の未来に憧れるが、生き延びるために心ならずも多くの裏切りを行う。変心の中で捨てることのなかった豊国の本心とは? 未来が見えない時代にも通じる豊国の生き様を描く歴史巨編。