与四郎と俳句の会で付き合いのあった札差の間口屋五郎次が、ふぐの毒で亡くなるという事件が起こった。しかし一緒にふぐを食べた者は毒に当たっていないことから、岡っ引きの新太郎は疑念を抱き、探索を開始する。札差を継いだ、五郎次の息子・心平太の周囲には、娘であるお稲への厳しすぎる躾や、女房のお雉の兄である蜜蔵との諍いなど問題が起きていたという。一方、与四郎の店の小僧である太助は、最近、商売にあまり力を入れていない。道場にも顔を出さないことがあるという。これらの事件は、ドン尻屋一家というやくざと関わりがあることが分かるのだが……。大人気時代小説第五弾!