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小松左京賞とは

この夏、映画化受賞作も登場!

ハイレベルな娯楽作品を募るSF小説賞

受賞作品の映画公開を今年夏に控え、注目度も急上昇中の賞がある。歴代受賞者の最高齢は63歳。とかく若年層優位とされる新人賞で、30代後半からの書き手が若手と互角に戦える賞としても、評価が高い。

予備知識なしでも楽しめるイマドキの空想科学小説を求む
角川春樹事務所書籍編集部の原知子さんと片岡宏康さんに、まずは選考の様子を伺った。
全作品は予備選考委員4名に分けて渡され、1名につき3〜5編が1次選考通過作品として推薦される。
続いて予備選考委員と編集部内でアイデアの新しさや読みやすさなどを多角的に検討し、3〜5編の最終候補作品を決定する。
「SFとしての斬新さと、万人に受け入れられるエンターテインメント性を、兼ね備えた作品ということが重視されます。SFを普段読まない読者にも楽しめる、幅広い読者をターゲットとした作品が理想ですね」
創設以来の一貫した方針は、必然的に、受賞に到るまでのハードルの高さにつながっている。最終選考でこのバランスを指摘され選外となった作品が、他社から「小松左京賞最終選考作品」と銘打って堂々と出版された前例もある。求められるレベルは高い。
年ごとに応募作品の傾向が多少固まることもあり、昨年はなぜかパニックものが多かったが、とくに流行と言えるほどの偏りはない。流行が作られないほどに、近年の科学技術の分野が細分化しているせいもあるかもしれない。今の時代のSFを書く難しさも、その細分化に一因がある。分野ごとに専門化されすぎた世界は、書き手が余程の工夫を重ねて仕上げていかないと、小説として楽しめるものにならない。設定までは勉強すればなんとかなるかもしれないが、問題はその先だ。
「出だしはすごくいいのに、後にいくほど失速して、着地はどうも・・・・・・という作品が目立ちます」
「空想科学」としての着眼点は悪くない。それを予備知識のない読み手にも楽しめるよう、どう工夫するかが、「小説」になるかどうかの分かれ目になろう。
エンターテインメントの書き手に古典SFは最高の参考書
今回の大賞に輝いた作品は、宇宙戦争のリアルで斬新な描写を始めとするSF的・小説的完成度の高さとともに、その語られるテーマもまた、高い評価を得た。
「小松先生をはじめ、日本の古典的なSFは大抵、娯楽性の豊かな大衆文学作品であるとともに、大きなテーマや問題提起、社会への風刺を含んでいました。これからSFを書かれるかたは、まずはそうした古典に触れてみていただければ、おおいに参考になると思います」
 同賞が30代より上の書き手に優位な状況は、おそらくこの古典を多く読んでいるかどうかの差ではないかと推測される。現在第一線で活躍する作家の中には、国内の古典的SFを浴びるほど読んで育った書き手も多い。「純然たるSF」以外のジャンルを目指す書き手にとっても、古典SFは発想や語り口の宝庫として、最高の参考書になろう。読んでおいて損はない。
「あえて求める作品を挙げるなら、もっとユーモアのある作品がほしいですね。暗く悲しい話は多いですが、こんなご時世だからこそ、未来のほうを向いた、明るい笑いに充ちた作品があればと思います」
 SFは本来「なんでもあり」が身上のジャンルだ。見たことのない世界も、遠い未来の技術も、ありえない夢も実現する。想像するだけで楽しい。その楽しさが、物語となって加速する。時間と空間の枷を突破してゆく、現代の、そして次世代の作品を期待する。

※2008年1月9日号 月刊公募ガイドより転載いたしました。

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