時は、前漢の中国。辺境に押し寄せる匈奴の脅威に、漢は領土を侵され続けていた。前166年、匈奴は十四万の兵を挙げ、漢に侵攻。かつてない窮地に追い込まれることになる。だが、その窮地を救った少年がいた。その名は季広。類稀なる正確な弓射で、匈奴の兵を射殺し、撤退まで追い込んだのだ。やがて、その名は、匈奴に知られるところとなり、飛将軍として恐れられることとなる――。文帝・景帝・武帝に仕え、『石に立つ矢』などの数々の逸話を残し、漢代一の勇将とされながらも、悲運の生涯を送った英雄の物語。歴史小説の気鋭・塚本�史が描く、書き下ろし中国歴史ロマン、ついに刊行。